Twitterに投稿された四コマ漫画が多くの読者の胸を打ち、熱狂的な支持を集める漫画家・世紀末の処女作にして代表作『殺さない彼と死なない彼女』が映画化！11月15日（金）公開となります。

もともと原作の四コマ漫画や原作者の世紀末さんのことも知っていたのですが、オファーをいただいてから改めてじっくりと読ませていただきました。
八千代くんを演じるにあたって読んだこともあり、八千代くんと君が代ちゃん（※映画では撫子ちゃん）のシーンがすごくお気に入りですね。二人のやり取りに共感したり、思わずニヤリとしたり、泣きそうになったり……読んでいて感情が忙しかったです。
四コマってとても短いし文字数も限られているのに、人の気持ちを大きく動かしてくれる作品なのですごいな、と感動しました。

少し影がある部分は、自分に近いものを感じました。
見た目に関しては自分なりに近づけてもっと似せていこうと工夫しましたが、映像になると動きが出てくるので、そこは小林監督と打ち合わせやリハーサルを積み重ねて、お互いのイメージを合わせていきました。監督は、本番の撮影に向けてキャスト一人一人としっかり向き合ってくださるんです。そういう時間を設けてくださったことで、演じていくうちに少しずつ八千代くんとの距離も縮まりました。

撫子ちゃんも八千代くんも、ポロッと出てきた何気ない一言が胸に響くんですよね。
特に僕が好きなのは、八千代くんが言った「君は、君を好きにならない僕のことを好きなんじゃないの？」というセリフです。台本を読んだときに自分の中ですごく刺さるものがありました。
今回、撫子役の箭内夢菜ちゃんとのシーンがほとんどだったのですが、毎日ピュアな気持ちで告白してくれる撫子ちゃんと、八千代くんのツンデレ加減のバランスや、二人の空気感を作っていくことが重要だと思っていたので、気を遣わずにうまく溶け込んでお芝居ができて良かったです。お芝居のこともそうですけど、お互いサンリオ好きという共通点があったので、かなり盛り上がりました(笑)。色々とお話できて楽しかったです。

──微笑ましいエピソードをありがとうございます！ゆうたろうさんのおっしゃる通り、八千代くんのセリフには重みがありますよね。他にも演じる上で意識されたポイントがありましたらお聞かせください。
八千代くんは何に対しても興味が湧かず、一周回って悟りを開いているような人です。冒頭のシーンは彼のそういうキャラクター性を表す大切なシーンなので、声のトーンを低めに淡々としゃべることを意識して演じました。
反対に一見冷たくても、実は彼自身の本心は別にあったりするので、そういう不器用なところやツンデレの“デレ”の部分が出る場面は声のトーンを少し上げています。特に二人が少しずつ心を寄せ合うシーンや撫子ちゃんへの気持ちの変化が表れるナレーションシーンは、すごくこだわりましたね。八千代くんなりの一世一代の決断だったので、いつも以上に撫子ちゃんのことを想いながらアフレコに臨みました。

気持ち的には追いかけたいですが、追いかけられる恋愛の方がうまくいく気がします。お互いに好意を抱いていたとしても、伝えるまでに勇気がいるじゃないですか。僕自身、少し恋愛に臆病になっている部分があるので、なかなか勇気が出ないし、相手からアプローチをされたこともないので、追いかけられる恋愛には憧れますね。それこそ、あまり好きじゃなくても好きになってしまうかもしれないくらい憧れています。
あとは、ゆうたろうといえば、メガネで黒髪マッシュ、カラフルな洋服というイメージが強いので、そのキャラクター性から一人の男性と見られることが少ないんです。21歳になってそろそろそういうイメージから卒業したいという気持ちも芽生えてきたので、最近はメガネを外したり、服装を大人っぽくしたりして男らしさを出せるように意識しています。

一番好きなのは『GANTZ』です。実写化された映画を見てから原作、アニメとハマっていきました。あのダークな世界観と非現実的な雰囲気が大好きな作品ですね。

なにかに躓いたり、SNSや人間関係に息苦しさを覚える方々にぜひ見ていただきたいです。ふんわりとした世界観や登場人物たちのセリフに込められたメッセージ性がとても強い映画なので、今を生きるたくさんの人の心を救ってくれると思います。
それから、この映画では小坂と鹿野、地味子ときゃぴ子、撫子と八千代という三つの物語が描かれています。キャラクターたちのやり取りがとても愛らしいので、それぞれのペアにしかない空気感を楽しんでいただけたら嬉しいですね。